みなし贈与税が非課税になる日は来るのか?

平成29年度税制改正要望の中から、個人的に気になったものをピックアップしてお届けします。

あくまで要望ですので、実現するかどうかは、12月の税制改正大綱をお待ちください。

今回は、厚生労働省が要望している「医療継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等」です。

要するに、

<その1>
平成29年9月30日までとなっている認定医療法人制度の延長を要望

<その2>
認定医療法人が持分なし医療法人に移行する際に法人に発生する可能性のあるみなし贈与税を非課税にするよう要望
の2本立てです。

特に2番目が実現すると、持分あり医療法人が持分なし医療法人に移行しやすくなるため、医療法人の事業承継は一気に進むと注目を集めていますが、一般的な見方は「実現性が低い」というところでしょうか。

引用文・図表の出典は「平成29年度厚生労働省税制改正要望について」からです。

財務省に提出された「医療継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等【PDF】」もあわせて確認します。

現行制度・要望の趣旨

持分あり医療法人の「出資持分」を相続や遺贈により取得した場合には、その医療法人が大臣から認定を受けた認定医療法人であるときには、相続税等の納税が最大3年間猶予されます。

平成26年度税制改正で手当てされたこの制度は、平成26年10月1日から平成29年9月30日までが移行に計画の認定制度期間となっています。
持分ありからなしへの移行

医療法人社団のうち、「持分あり」は約4万法人(約8割)と圧倒的に多いわけですが、高すぎる出資持分が事業承継に大きな影響を与えています。

しかし、出資者の死亡により相続が発生すると、医業の継続に影響が出てしまい、地域住民に対する医療サービスの提供ができなくなる恐れがあります。

また、持分あり法人から持分なし法人に移行する際、出資者が持分を放棄すると、この経済的利益が「法人」へ贈与されたものとみなして、法人に贈与税が課税される場合があります(相続税法第66条第4項)。

この点も事業承継のネックになっています。


要望の内容

<その1>
平成29年9月30日までとなっている認定医療法人制度の延長を要望

<その2>
認定医療法人が持分なし医療法人に移行する際に法人に発生する可能性のあるみなし贈与税を非課税にするよう要望

所感:現行制度でも適用実績は2桁

そもそも医療法上の移行計画の認定件数は、平成26年度が11件、平成27年度が26件と少なく、また、租税特別措置により、相続税が免除された事例は、平成27年度に3件となっています。

今回の要望による適用見込みも年間52件、相続税免税は年間18件となっており、実務上、適用するのはレアケースといえます。

もちろん、安易に認められないという点はあるかと思いますが、そうも言っていられない時代がきているのではないかと思うところです。


なお、医療法人における事業承継については、弊社の医療経営コンサルタントの中村がサービスを提供しておりますので、最後に中村のブログ記事をご紹介させていただきます。

名南経営 中村慎吾の「医療法人経営の実務ポイント
厚生労働省平成29年度税制改正要望