BEPSプロジェクトを踏まえてどこまで変えるのか?

平成29年度税制改正要望の中から、個人的に気になったものをピックアップしてお届けします。

あくまで要望ですので、実現するかどうかは、12月の税制改正大綱をお待ちください。

今回は、経済産業省が要望している外国子会社合算税制の見直しです。

引用文・図表の出典は「平成29年度 税制改正に関する経済産業省要望の概要」の45ページです。

財務省に提出された「外国子会社合算税制の見直し【PDF】」もあわせて確認します。

現行制度

外国子会社合算税制は、日本企業が軽課税国(租税負担割合20%未満)に実体のない子会社を設置して租税回避を行うことを防止する制度です。
CFC税制1


要望の趣旨・内容

平成29年度 税制改正に関する経済産業省要望の概要」の45ページでは、次のように2つの内容が要望となっていますが、あいまいで何を意味しているかよくわかりません。
○BEPSプロジェクトを踏まえた外国子会社合算税制の見直しに当たっては、軽課税国を利用した課税逃れを的確に防止しつつ、日本企業の過度な負担により国際競争力の低下を招くことがないよう、合理的で簡素な制度とする。

○また、現行制度では合算の対象とされる軽課税国での航空機リース事業の取扱い等、現行税制において、日本企業の海外展開に影響を及ぼしている事項について適正化を行う。
そこで、  「外国子会社合算税制の見直し【PDF】」を見てみると、適正化の観点から、下記の①~⑤が要望されています。

① 外国関係会社の判定方法における少数株主排除基準の導入

② 特定外国子会社等の判定方法の見直し

③ 事業基準における航空機の貸付けの取扱いの見直し

④ 適用除外基準の適用範囲に支店所在地国を含める見直し

⑤ 特定外国子会社等が保有する株式譲渡益の取扱いの見直し

それぞれについて、特に要望の中ではコメントはありませんが、外国子会社合算税制全体を大きく見直す方向性で動いているようです。


所感:最近、ご質問が多いのは・・・

要望はこれくらいしかないので、広げようがないのですが、最近、ご質問をいただくのは、上記の要望に書かれていることではなく、配当や知的財産に係る所得については、租税負担割合20%以上でも合算するという新聞報道の件です。

これについては、政府の税制調査会の「第7回 国際課税ディスカッショングループ(2016年5月26日)」で公表されたこの図表でも表現されています(1番下の資料の6ページ目)。
BEPS
図表を見ていただくと、赤色で囲まれた部分=「現行制度では合算されない部分(Under Inclusion)」について、どうなるのかが注目されています。

外国子会社合算税制の見直しは、BEPSの関係上、確実に税制改正で行われる項目のため、後は、どこまで踏み込んで改正を行うのかが注目されるところです。


・・・ただ、外国子会社「合算」税制の「合算」とは、「プラスのもの」と「プラスのもの」を足すときに使われる用語です。

そういう意味では、外国子会社の所得を合算する「外国子会社所得合算税制」が現在の制度ですが、一方で、連結納税制度は、国内限定ですが、「損益」の「通算」が可能となっています。

タックスヘイブン(対策)税制という名前を公式には表に出すのをやめてかなり経ちますが、親会社の所得と子会社の所得は合算するけど、親会社の所得と「子会社の欠損」は通算しないという点は、課税の公平性から考えてどうなのか、外国子会社合算税制という名前を見るために、個人的には考えるところです。