1月27日追記

週刊税務通信1月30日号では、医療機器について「対象外」の方向で検討という記事が出ています。

ただし、固定資産減税はOKと不思議な内容となっています。今後の情報にご留意ください。


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平成29年度税制改正のセミナーを社内・社外問わず行っていますが、平成29年4月からスタートする中小企業経営強化税制が1番大事だと思っています。

ただ、この制度はいくつか落とし穴があるので、個人的な備忘のメモです。

keisansyo
出典:経済産業省資料




落とし穴1:平成29年3月までの設備投資には適用できない。

当たり前ですが、平成29年4月以降の設備の取得について適用されるため、優遇措置が変わります。

特に医療機器は生産性向上設備投資促進税制で優遇措置の利用機会が多かったわけですが、中小企業経営強化税制もB類型で器具備品全体が使えるので、同じく使える見込みです。

しかし、医療機器は、来月設置しますとか、割と取得までに時間が短いので、4月に取得したら10%の税額控除ができたのに、3月31日に取得したら4%税額控除だったということになると・・・。

→週刊税務通信1月30日号では、医療機器について「対象外」の方向で検討という記事があります。

落とし穴2:4月以降の設備投資で本当に使えるかはわからない。

さて、では、3月の投資を4月に伸ばしたらいいかというと、実は、話はそう簡単ではありません。

なぜなら、中小企業経営強化税制は、従来のB類型の申請手続きに「経営力向上計画」の申請が必要となっています。

したがって、経営力向上計画が認められなかったり、間に合わなければ、使えません。

それなら、3月までに取得して、生産性向上設備投資税制の方で確実に4%税額控除を取った方がいいじゃないか、という考えもあります。

非常に悩ましいところです。

落とし穴3:4月決算法人が4月に取得して間に合う?

中小企業向けの固定資産税減税は、償却資産の申告まで余裕があったのでいいのですが、今回は法人税と所得税です。

特に法人税は、事業年度ベースではなく設備の取得ベースですので、4月から一斉スタートです。

しかし、1番最初に適用できる4月決算法人は、いきなり決算です。

中小企業向け固定資産税減税は、60日ルールがあり、事後に経営力向上計画を出すことも可能ですが、4月決算法人が4月に取得して、そこからヨーイドンで経営力向上計画を出して、さて、認定を受けられる前に、申告期限が到来しないでしょうか。

そうでなくとも即時償却が使えるかどうかドキドキしながら4月決算の決算・申告作業を行うこととなります。

落とし穴4:4月取得設備のB類型申請はいつ行う?

また、そもそも中小企業経営強化税制は従来のB類型と同じ手続きですが、平成29年4月に施行される場合、経過措置があるのでしょうか?

B類型の確認は取得の1か月前に経産局に提出して確認書の発行を受けますが、4月取得設備なら3月までに行いたいところです。

ただ、施行前なので、なんだか不思議ですね。

もちろん、法律上は、経営力向上計画も、B類型も税制とは別の法律の中で規定されているので、事前に進めることは可能です。

つまり、2月~3月の確定申告時期にこれらの手続を行うというタイミングとなります。

落とし穴5:経営力向上計画の提出先

さて、経営力向上計画自体をそもそも見たことも作ったこともない方は、すぐにご覧になった方がいいわけですが、まず、提出先が異なることは気をつける点です。

中小企業庁:経営サポート「経営強化法による支援」

例えば、医療業だと「厚生労働大臣」宛です。

B類型の申請は、「経済産業大臣」で異なります。

落とし穴6:経営力向上計画の様式

公式のExcelが公表されているので、これを利用すればよいのですが、困ったことにいくつかあります。

中部経済産業局の場合

中部

このフォーマットが使えるのは、中部経済産業局長宛に経済産業省所管業種について作るときだけです。

つまり、先ほどの医療業は管轄が異なるので、これは使えません。

落とし穴7:取得価額基準に「合計」がない。

資料を作っているときにおやっと思ったのですが、単品基準だけで合計いくらという基準がありません。
中小企業経営強化税制

単品の最低基準は「中小企業投資促進税制の上乗せ措置」にもあったので、それを踏襲しているのかもしれませんが、合計して金額基準を満たそうという発想はない点に注意が必要です。

特に、ソフトウエアは中小企業投資促進税制では「合計70万円以上」、生産性向上設備投資や中小企業投資促進税制の上乗せ措置では「単品70万円」または「単品30万円かつ合計70万円以上」ですが、中小企業経営強化税制では「単品70万円以上」となっていて厳しくなっています。

一方、器具備品は「単品30万円以上」になっていて、要件がかなり緩和されていて、逆に該当しているかどうかの確認が大変になりました。

落とし穴8:A類型は器具備品・建物附属設備も限定あり。

B類型は「すべての器具備品・建物附属設備」ですが、A類型は「すべてではない」と考えます。

そういう意味で、医療機器ではA類型は使えないのではないかと考えています。

典型例は経産省の資料にあるように、器具備品なら試験・測定機器、冷凍陳列棚などが対象となると予想されます。

この点は、今後の情報を見ないとわかりません。

工業会の皆さんは証明書の発行手続きが大変そうです。

落とし穴9:電子計算機、複合機は手続きをしないと対象外

中小企業投資促進税制(30%特別償却、7%税額控除)から器具備品が全部なくなってしまったので、電子計算機なんかは決算の時に使えるかどうか気づけばよかったのですが、手続きをして中小企業経営強化税制の適用を受けないと使えません。

結構使い勝手がよかったのですが・・・。

今までの実務と変わっているので注意が必要です。

落とし穴10:税額控除の限度額は3制度合計

地味に改正されていますが、法人税の20%ですが、それは中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制、中小商業サービス活性化税制の3制度の合計で考えます。

同時に使うのは中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制かなと思いますが、税額控除を検討しているときは、限度の考え方に要注意です。

落とし穴11:中小企業向け固定資産税減税との併用

中小企業経営強化税制は併用可能と考えます。

しかし、中小企業向け固定資産税減税は別途証明書をとって、償却資産の申告が必要であり、また、器具備品と建物附属設備については地域・業種限定があるので判断が必要です。

つまり、2つの制度をセットで考えないといけないというのは、太陽光発電設備でグリーン投資減税と償却資産税の特例がありましたが、これだけ広範囲の設備で考えるのは今までなかったかと思いますので、どっちかはやったけど、もう1つは忘れたというような漏れがないようにしたいものです。


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